櫻の開花が始まったというのにゆっくり花を愛でる暇も無く毎日、何だか慌ただしく駆け抜けている心境の今日この頃です。
その要因は3月という季節に関係があって
4月は色んな新しいスタートを切る月だからでしょう。その一番最たる物がテレビ番組で今、私が担当しているNHKの「にほんごであそぼう」も4月に向けて大わらわで収録に追われています。
私がセットと衣装の両方に関わっているこの子供番組は、寿下無や野村萬斎さんのややこしや等でご存知の番組です。小さな子供達が意味も解らず言葉のリズムを感じて難しい寿下無を暗唱し島崎藤村の雨にも負けずをとうとうと語るのは感動的です。流行語大賞にもノミネートされたややこしやは子供達の中で大ヒットしていました。
今回は新しいコニシキさんのコニ厨房のセットとコックさんの服に4月からレギュラーで参加する落語家柳家花緑さんのセットに着物のデザイン、萬斎さんは一回の収録に3パターンのセットを組みました。
衣装だけを担当しているとデザインする事で、ほぼ簡潔するのですがセットの仕事をやり始めてから演出面にも影響があるのでディレクターとの打ち合わせがおのずと多くなり仕事量がドンドン膨れてきています。
慣れないセットデザインの仕事は想像通りに完成に近づける事が難しくスタッフワークにまだまだ悩まされています。でもその分、出来上がり出演者が衣装を付けその空間に、はまると全体を作れた満足感があるしドキドキしながらも
楽しんでいます。
番組の目標が子供対象で有りながらも大人も楽しめる水準の物を目指しているので仕事をしながら言葉の学習もできるし萬斎さんの妥協のない素晴らしい狂言を生で目の当たりにして
本当に幸せな仕事だと思います。
萬斎さんはもちろん本来の装束を身につけても魅せますが時には雷様の角をはやし猿や天使や色々なキャラにおもしろがって変身して頂いています。
コニシキさんも大きな体を揺らしてラップに挑戦されるし他の出演者の方々が、それぞれに力を入れている感じが伝わって来るので、ますます私の仕事もヒートアップしています。
とにかく
良い物を子供に見せたい。子供だからこの程度という考えを持たずに自分が一番楽しんで仕事をしているのかも知れませんね。この原稿が本になる頃には新しいコーナーがON AIRされています。ぜひ見て下さい。おまけに新番組からだであそぼうも担当しています。

ひびのこづえ

モダンペットの展覧会に作ったワンピースです。染色用クレヨンと絵の具で描きました。

2004年6月NO.120号掲載